メディヘン3から4への記事移行用なので3.5
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これも、『間取りの手帖』と同じく、しばらく本屋の棚に寝かせて、横目で窺っていたもの。ある日、内なる何かが熟して購入。しかし、今度は自分の本棚に放っておいて、またまた熟成。先週、ようやく読む気になった。読み始めれば、一気に読んじゃうんだが……
ルイス・シャイナー著 / 小川 隆訳 東京創元社 (1997.12) ISBN : 448870901X 価格 : ?1,071 通常2-3日以内に発送します。 ■あらすじ 時は、1988年。主人公は、テキサス州オースティンでステレオ修理業を営むレイ。彼は、永年、確執のあった父親を事故で無くしたばかり。結婚して10年以上経つ妻との関係もうまくいっていない。そんな彼は、ある日、自分の不思議な能力に気づく。ビートルズが後期の揉め事にとらわれずにいたら、”ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード”は、こういう風に録音されていたのではないか……彼がスタジオの情景に想いを巡らすと、まさにその通りのテイクがステレオから流れ出したのだ。そのテイクを録音し、海賊版専門のレコード会社に持ち込んだところ、直ちにCD化決定。こうして、レイは、ロックだけではなく歴史を変えたかもしれない、ドアーズ、ビーチ・ボーイズ、ジミ・ヘンドリックスの幻のアルバムの制作に乗り出す…… タイトルは、60年代のコンピレーション・アルバム"Glimpses"から(らしい)。本文543ページに、50ページの訳注・訳詞・解説が付く。作品自体も結構な大作だが、訳者の小川隆氏も思い入れたっぷりの力の入りよう。 ■感想 創元SF文庫から出ているので、SFジャンルにしたが、内容的にはファンタジーに近い。実際、1994年の世界幻想文学大賞を受賞している。作者のルイス・シャイナーは、サイバーパンク・ムーブメントの理論面を支えた一人で、ウィリアム・ギブスンやブルース・スターリングとの親交も厚い。解説にも、ギブスンが本作の資料収集に協力したエピソードが紹介されている。また、解説によれば、本作の主人公のバックグラウンドや境遇は、作者自身のそれと重なる部分が多く、本作はシャイナーの自伝的作品でもあるとのこと。 とにかく、ロックと、父と子の相克というものに、極めて強い想いを込めた作品。実は60年代のロックに強い思い入れが無い自分としては、熱狂する、というところまではいかなかったのが、正直なところ。しかし、物語としては十分おもしろいし、これだけの情報量を詰め込んだペダンチックなところは、それだけで魅力的。本棚にぜひ置いておきたい1冊であることは確か。 PR |
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