忍者ブログ
メディヘン3から4への記事移行用なので3.5
[45] [44] [43] [42] [41] [40] [39] [38] [37] [36] [35]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

これも、『間取りの手帖』と同じく、しばらく本屋の棚に寝かせて、横目で窺っていたもの。ある日、内なる何かが熟して購入。しかし、今度は自分の本棚に放っておいて、またまた熟成。先週、ようやく読む気になった。読み始めれば、一気に読んじゃうんだが……

グリンプス
グリンプス
posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.30
ルイス・シャイナー著 / 小川 隆訳
東京創元社 (1997.12)
ISBN : 448870901X
価格 : ?1,071
通常2-3日以内に発送します。

■あらすじ

時は、1988年。主人公は、テキサス州オースティンでステレオ修理業を営むレイ。彼は、永年、確執のあった父親を事故で無くしたばかり。結婚して10年以上経つ妻との関係もうまくいっていない。そんな彼は、ある日、自分の不思議な能力に気づく。ビートルズが後期の揉め事にとらわれずにいたら、”ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード”は、こういう風に録音されていたのではないか……彼がスタジオの情景に想いを巡らすと、まさにその通りのテイクがステレオから流れ出したのだ。そのテイクを録音し、海賊版専門のレコード会社に持ち込んだところ、直ちにCD化決定。こうして、レイは、ロックだけではなく歴史を変えたかもしれない、ドアーズ、ビーチ・ボーイズ、ジミ・ヘンドリックスの幻のアルバムの制作に乗り出す……

タイトルは、60年代のコンピレーション・アルバム"Glimpses"から(らしい)。本文543ページに、50ページの訳注・訳詞・解説が付く。作品自体も結構な大作だが、訳者の小川隆氏も思い入れたっぷりの力の入りよう。


■感想

創元SF文庫から出ているので、SFジャンルにしたが、内容的にはファンタジーに近い。実際、1994年の世界幻想文学大賞を受賞している。作者のルイス・シャイナーは、サイバーパンク・ムーブメントの理論面を支えた一人で、ウィリアム・ギブスンやブルース・スターリングとの親交も厚い。解説にも、ギブスンが本作の資料収集に協力したエピソードが紹介されている。また、解説によれば、本作の主人公のバックグラウンドや境遇は、作者自身のそれと重なる部分が多く、本作はシャイナーの自伝的作品でもあるとのこと。

とにかく、ロックと、父と子の相克というものに、極めて強い想いを込めた作品。実は60年代のロックに強い思い入れが無い自分としては、熱狂する、というところまではいかなかったのが、正直なところ。しかし、物語としては十分おもしろいし、これだけの情報量を詰め込んだペダンチックなところは、それだけで魅力的。本棚にぜひ置いておきたい1冊であることは確か。
PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30
フリーエリア
最新コメント
[04/29 机票]
[02/24 indi-book]
[01/13 medihen]
[01/13 A・T]
[01/12 medihen]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
medihen
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索