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三巻連続刊行の後、まとめ買いして通読。勢い余って<スクランブル>三冊まで読み直してしまった。年末のゴタゴタで、ようやく感想が書けた……

マルドゥック・ヴェロシティ 1
冲方 丁著
早川書房 (2006.11)
ISBN : 4150308691
価格 : ¥714
通常24時間以内に発送します。

マルドゥック・ヴェロシティ 2
冲方 丁著
早川書房 (2006.11)
ISBN : 4150308705
価格 : ¥714
通常24時間以内に発送します。

マルドゥック・ヴェロシティ 3
冲方 丁著
早川書房 (2006.11)
ISBN : 4150308713
価格 : ¥714
通常24時間以内に発送します。




■感想

『マルドゥック・ヴェロシティ』3巻の著者あとがきを読むと、“「都市と男と告白」の物語。その執筆が、いったいいつから始まった始まったのか、今は定かではない”とのこと。まあ、<スクランブル>執筆後ということはないんでしょう。

なにせ、著者の言う“「少女と敵と武器」についての物語”である『マルドゥック・スクランブル』の中で、ディムズデイル=ボイルドという脇役であるはずのキャラクターの存在感の過重さは異様。一方で、その重さを<スクランブル>の物語に丸め込む役を果たすはずのボイルドとウフコックの離別の経緯については、ドクター・イースターのぞんざいな言葉で投げやりに語られるだけで、どうにも収まりが悪い。

で、<スクランブル>刊行当時の読者の立場としては、「いつかボイルドの過去についての話も書いてくれると嬉しいなぁ」などと思いつつ、そういうのは “持ってはいけない期待”なのだと思って、バロットの物語に集中せざるをえなかったところがある。だから、SFマガジンへの<ヴェロシティ>掲載開始の報を知った時には、期待に報いられるのが以外と早いという驚きを感じつつ、書くなら書くと早く言ってよ、などという感想をもった憶えがある。

***

しかし、この手の話を雑誌掲載時に読むと先がどうなるのか知りたくてたまらない気分になるのは体験済み。全巻刊行までジリジリしながら待って読んだのだけど、「待った甲斐がある」、というのは読者の多くに共通する感慨だろう。

物語のスタートが<楽園>だろうということはわかっている。ラストもしくはそこへ至る最終局面が、<スクランブル>でイースターが語った意味不明な状況を経たボイルドとウフコックの決別であることもわかっている。その間を結ぶ過程に、“公安9課+ワイルド7”といった趣きもある重たく激しいストーリーが横たわっていたのは、単純な読者の予想を超えた、<スクランブル>を書いた著者への期待を裏切ることのない展開で、大満足。

***

<スクランブル>と<ヴェロシティ>を並べてみると、<スクランブル>の中にボイルドの物語が滲みでていたように、<ヴェロシティ>にも別の(次の?)物語が滲みでているように思える。

バロットはもちろん、ウフコックもイースターも知らない“スクランブル-09”創設の真の意義が彼らに明かされることはあるのか。ボイルド、それにオクトーバー一族が遺した存在がバロットたちの前に姿を現すことはあるのか。下世話なところでは、フェニックスの名を持つ少年のつぶやきと雛鳥バロットの関わり、とか……まあ、過度な期待は禁物と思いつつ、待ちわびていよう。


■関連リンク

- 積読を重ねる日々: 『マルドゥック・ヴェロシティ』読了
結論から言おう。
冲方丁は阿呆である。
という書き出しの一節には、思わず納得。
自分から見れば「冲方丁はヤバイ」。何がヤバイって、本人がヤバイ。毎回反吐吐きつつ、その上、記憶まで無くなって書いてるというんじゃ、ヤバイでしょう。このヤバさの現れの一つには、<マルドゥック>には食い物の話がほとんど出てこないところがあったりすると思う。いや、マジで。だって、たとえば飛浩隆<廃園の天使>シリーズとかも練り込まれた分厚い話だけど、あちらは食べ物の描写が多い分、開かれた感じがする。食い物のことに考えがおよばないと言うのは、自分の内面に閉じきっている証拠でヤバイというのが持論なんですが。まあ、ヤバさの精髄を味わっている読者が気にするのもヘンか。

- こんなもの読んでます:マルドゥック・ヴェロシティ 1,2,3
<スクランブル>がスター・ウォーズのエピソード4~6で、<ヴェロシティ>がエピソード1~3、というのは、言われてみればナルホド。でも、それじゃ、今後の続編は期待できないってこと?!

- のべるのぶろぐ 2.0:マルドゥック・ヴェロシティ(全3巻)
“ライトノベルを中心とした感想トラックバックサイト”とのこと。<ヴェロシティ>の感想も集まってます。

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