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この本、行きつけの本屋で最初に見かけたときは、あまり買う気はなかった。というか、買うべきか買わざるべきか、随分悩んでしまった。

タイトルにせよ表紙・装幀にせよ、申し分ないというか、スタンダートな印象で悪くない。なのに、一気に購入に踏み切れなかったのは、本全体の印象から突き抜けたパワーが感じられなかったからか。

結局、本屋に通うたびに本書とにらめっこをすることとなり、最後は根負けして購入。

まだ見ぬ冬の悲しみも
山本 弘著
早川書房 (2006.1)
ISBN : 4152086998
価格 : ¥1,785
通常24時間以内に発送します。



■感想

スタンダードでオーソドックスなSF短編集という印象を受けた。昔のハヤカワJA文庫みたいな雰囲気で、少し懐かしい。

評するとすれば、
度肝を抜かれるようなことはないが、読みやすく、面白いテーマを扱った良作が6編
という、S.S.S. blogさんの評そのもの。

- 「奥歯のスイッチを入れろ」
大事故の後、加速装置付きのサイボーグとして蘇った元宇宙飛行士の話。あちこちで書かれているように“加速装置”というネタをいかにもっともらしく扱うか、という点がミソ。ストーリーそのものは、石ノ森章太郎の特撮ヒーローものの第一話をリアル調でノベライズしました、という雰囲気。自分としては、加速装置よりも、このご時世に“正義の味方の誕生”を真正面から描いている点にビックリしつつ、結構好感をもった。

- 「バイオシップ・ハンター」
異星人の生体宇宙船の謎を追うジャーナリストの物語。異星人が立派な人たちすぎ、とか、いろいろな点でかなり薄味。

- 「メデューサの呪文」
全滅した調査船の生き残りである詩人が語る異星人の武器とは。言語が現実に影響を及ぼす、というネタを真正面から武器として扱っている点はおもしろかった。しかし、いかんせん、このネタには『幻詩狩り』(川又千秋)という傑作があるわけで……

- 「まだ見ぬ冬の悲しみも」
史上“二度目”のタイムトラベル実験に挑む若者の物語。冒頭で語られる破滅の光景へ流れ込んでいくストーリー全体に流れる不吉・不穏な雰囲気が良いのだが、もう少し紙数をとって、細部を描き込んで欲しかったような。

- 「シュレディンガーのチョコパフェ」
世間を恨む友人の実験装置によってムチャクチャになってゆく世界の中で、恋人とサヴァイバルを図る主人公。主人公とその恋人の「濃さ」にちょっと引いてしまった。

- 「闇からの衝動」
幻想小説ファンである青年が訪問した美貌の女流作家宅に潜む謎とは。ちょうど<ノース・ウェストスミス>を買い直したところだったので、自分的にはナイス・タイミング。

全体に、長編で書いてくれれば、きっと凄いのになぁ、というものが多かったような気がする。

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