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このあいだ、たまたま家族で本屋に寄った際、各自何か本を買うか、ということとなった。カミサンが選んだのは桐野夏生『グロテスク』、ムスメはあさのあつこ『The Manzai 3』、ムスコはマンガとゲームの攻略本はだめよ、となったらふて腐れて何も選ばず。自分はどうするかというところで、平積みの恩田陸『夜のピクニック』が眼についたのだが、“本屋大賞受賞作”というのが引っかかって、同じく平積みの『球形の季節』を読んでみることにした。

ちなみに本屋大賞受賞というタイトルに引っかかったというのは、どうもこの賞は、同じ作家の作品の中でも、どちらかというと当たり障りの無いものに授賞する傾向があるのではないか、という気がしてきたため。これは、『博士の愛した数式』を読んだ後、小川洋子の他の作品を二、三作読んでみたら、随分雰囲気が違ってビックリした経験から。

球形の季節
球形の季節
posted with 簡単リンクくん at 2006. 9.28
恩田 陸著
新潮社 (1999.2)
ISBN : 4101234124
価格 : ¥540
通常24時間以内に発送します。



■感想

読み始めてまず、物語の舞台である東北の地方都市の描写の自然さ、なめらかさに感心した。自分が歩いた東北のあの街にもこの街にも少しづつ似ているような気がして、えらく懐かしい気分になった。

そうしたある種ゆったりした気分で物語を読み進めて行くと、この小説がホラーと言われる由縁の“謎”が立ち上がってくる。物語のラストまで行き着いて驚いたのは、舞台描写のなめらかさと、“謎”の持つ荒々しさが見事に組み合わさって、一つの作品として落ち着くところ。提示される謎に、“進化”などというゴツゴツした感触の言葉が関わってくるので、どう納まりがつくのか途中不安だったのだが、読み終わってみれば、作者の力量に素直に感心してしまった。

一方、物語の進行を引っ張るには四つの高校に通う生徒達なのだが、彼らの描写についてはちょっと不満を感じた。地方都市での謎解き役として、好奇心に溢れた高校生を持ってくるのはいい考えだと思うし、読んでいても楽しかった。ただ、四つの高校それぞれの性格付けをはっきり設定しているということはわかるのだが、街の描写のなめらかさに比べて、各校の学生たちの書き分けはちょっと苦労している印象を受けた。男子校2つ、女子校2つに分けているのは、テーマにも関わりがあるのだろうけど、ちょっと凝り過ぎでは?という感じ。
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