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<クレギオン>シリーズ第3巻。順調に復刊中。新作と違って、原稿が出来ているんだかどうだか気を揉む必要もないし、今さら途中で打ち切りになるということもないだろうから(ないよね?)、極めて安心して読めるのであった。
 
また、作者も一定の評価を確立している人であるし、しかもストーリーと語り口が堅実なまでに淡々としているので、読む側としても気負う必要がまったくない。これが、デビュー直後の作家の気合入りまくり状態の作品だったりすると、一読者としても「これから読み続けるべき作者かどうか?」なんてことを考えながら読んぢゃったりして、疲れることはなはだしい。まあ、「2週目に入った朝の連続テレビドラマ小説」という感じでしょうか。

アンクスの海賊
野尻 抱介著
早川書房 (2004.3)
ISBN : 4150307520
価格 : ?630
通常2-3日以内に発送します。

■あらすじ

麻薬原料密輸のサボタージュに端を発するミリガン運輸とマフィアのトラブルが、ついに正面衝突に発展。系内に彗星が飛び交う原始星系アンクスを舞台に、陽気(?)な地元宇宙海賊を加えた三つ巴の宇宙海戦が勃発する。絶体絶命のロイド社長とマージ船長のピンチを救えるのは、真面目でけなげなミリガン運輸の新人航法士メイだけなのだった……


■感想

3巻目まで何も考えずに読んできたけど、そう言えば「クレギオン」って、何なの?(笑) ちょちょいと見てみると……フーム。往年のPlay by Mail RPGのタイトルである、と(”関心空間:クレギオン”より) でも、作中の何を指す言葉なのか未だにわからんのであった。

今回の作品は、あえて「ハードっぽい」ところを削っているような雰囲気。設定上のポイントは、チェスに引っ掛けた彗星の軌道計算なんだろうけど表面的に流し過ぎた感がある。結局、「陽気な海賊」と「真面目でけなげな美少女」の組み合わせだけで話が進んでしまっている。あんまり固い話は読者に合わないよー、ということにでもなったのかもしれない。このあたり、今後の野尻抱介氏には、単に説明的な描写を加えて厚みを増すというのではなく、読者の意表をつく舞台の取り扱いで、軽いながらも洒落たスペオペを期待したいところ。

■関連リンク

- [小説][書籍]野尻抱介『クレギオン (3) アンクスの海賊』(早川書房)@いつでも人生、明るい方を眺めていこうや
どちらもキャラが足りないと思うのだけれど、野尻抱介のは許せて機本伸司のは許せないのは何故だろう。


ちょっとした野尻抱介作品論。なるほどー、と考えるヒントになりました。

- クレギオン3 アンクスの海賊 /野尻抱介@好きなら、言っちゃえ!! 告白しちゃえ!!
メイが主役でも、この程度、っちゅーか、やっぱ、どうにも見所が微妙なんだよなー。


前の2冊から比べると主役が明確になってはいるものの、このままメイを主人公に据える割り切りにまでは至っていない、という感じですかね。

- [本日の読み物]野尻抱介『アンクスの海賊』@OverTechnology出張所
途中、チェスの対局の描写が入るのだが、説明不足の感が有り


チェスのシーンは、ちょっと勿体なかったですね。もう一手間かけて欲しかった。
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