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文学評論分野で赫々たる活躍をなさっている斉藤美奈子さんの最新文芸評論。まあ、分野的にも著者的にも普段は読まない種類の本なんですが、これまたbk1.co.jpで「話題のベストセラー」に掲載されていたことから注文してしまったという。Amazonの「おススメ」で買った本は無いのに、bk1で紹介されていると買ってしまうのは何故なのかな。けして勧め方がうまいというわけではないと思うんだけど……
斎藤 美奈子著 紀伊国屋書店 (2004.2) ISBN : 4314009586 価格 : ?1,680 通常2-3日以内に発送します。 ■内容 ストーリーの中に小道具として登場する商品の観点から著名な小説群を読み直そう、という切り口で書かれた文芸評論集。「はじめに」では「モノから小説を読む」と書かれているけれども、ここでいう「モノ」とはあくまで“商品”であって、男の子的な“MONO”の要素はほとんど無し。モノの取り上げ方も、今風の売れ筋商品ジャンルに合わせて、アパレル/ファッションから入り、食、旅行(「ホテル小説」)、音楽(「バンド文学」)、スポーツ(「野球小説」)へと進む。日本が世界に誇る製造業分野の商品からは、乗り物(「オートバイ文学」)があげられている。ほとんどの項は雑誌に掲載された文章のようだが、巻末に書き下ろしで「貧乏小説」の項が追加されている。貧乏って商品なの? というところもあるが、“消費生活”という、より大きな視点でみればつながっている気もしないではないし、一番おもしろかったこともあって、さほど違和感無し。 ■感想 あまり読まない分野の文章なので興味深く読めたものの、タイトルから想像していたイメージと実際の内容とのギャップに戸惑った。だって、まがりなりにも「商品学」という本なんだから、小説について語りつつ実際はモノにスポットを浴びせる、という評論だと思うじゃないですか。それが、完全に逆なんだもの。まあ、著者について知っていれば、そんな風に思う方がおかしいのだろうが。でも、この内容なら、文学的商品学ではなくて、商品学的文学論なんじゃないかなぁ。 あと、もう一つ疑問に思ったのは、ほとんどの分野について、「××小説」という言い方で分類されているのに、「バンド文学」と「オートバイ文学」のみ“文学”で括られている点。別に小説以外の文学が扱われているわけでもないし。「××小説」の項と「××文学」の項で、文章の温度が微妙に異なるような気もしたけど、どういう使い分けなんでしょうかね。 まともな文学・小説を読む人間ではないので、こういうずらした切り口からの作品紹介は、それなりに興味深かった。でも、もうちょっと、「商品」自体に付いても語ってほしかったなー。(←しつこい) PR |
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