メディヘン3から4への記事移行用なので3.5
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この厚さはSFファンへの挑戦としか思えない! などと勝手に盛り上がって購入。
視点が三者だった前作に比べ、視点が減ったことで、ずいぶん読みやすくなったような気がする。自分的にはリーダビリティ大幅向上。 アレステア・レナルズ著 / 中原 尚哉訳 早川書房 (2006.7) ISBN : 4150115710 価格 : ¥1,512 通常24時間以内に発送します。 ■あらすじ 武器商人のプライベートな護衛役をつとめるタナーは、雇い主と彼がひそかに心を寄せる雇い主の妻を殺した犯人を追って、近傍星域に名高いイエローストーン星・カズムシティへと渡る。しかし、栄華を誇ったイエローストーン星とカズムシティは、“融合疫”と呼ばれる謎の疫病により混乱の坩堝と化していたのだった。自らも他人の記憶をフラッシュバックさせるウィルスに犯されたタナーは、復讐を求めて退廃の都カズムシティに歩み出す…… ■感想 これだけ分厚いのだから、きっと重厚なテーマの骨が一本通ったストーリーなのだろうと思ったら、ちょっと拍子抜け。 背表紙の紹介には「ノンストップ・ハードボイルド・アクション超大作」と書かれている。ハードボイルドと言ったら、主人公が自分自身のルール(かっこよく言うと掟というヤツ)に拘るものだと思う。本書の主人公の場合、そのあたりが弱くて、これをハードボイルドと言ってしまうと、そちら方面の方に怒られるような気がする。 これはやはり、気軽にツラツラ読むべき単純なSFアクション物でしょう。「単純なSFアクション」だけで、この厚みを持ちこたえられるかは、独特な陰鬱な雰囲気を醸し出している舞台設定や情景描写がツボにはまるかどうか次第かも。 自分の場合、移民船の宇宙航行を描いたサブプロットがラストにうまくメインのプロットに収束しきれていない気がして、「え、これで終わりなの?」と肩透かしを喰らった気分。せっかく、途中までいい味出していたのにもったいないという感じ。前作『啓示空間』も、宇宙航行の部分が一番おもしろかったので、そこを中心にしたストーリーが読んでみたい。 しかし、どうでもいいけど、原題Chasmcityのchasmは、「キャズム」とする方が通りがよかったのでは? 辞書で発音を見ると「カズム」の方が正しいようだが。しかし、ビジネス書の"Crossing the chasm”が『キャズム』というタイトルで有名になって以来、SFファンにも多そうなハイテク関係では、「キャズム」の方が通りがよいような。それにカズムシティより『キャズムシティ』の方が、格好いいと思うんだけど。 PR |
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