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キューバの歴史に関する入門書を探しているうちに、なぜか『カタロニア讃歌』という本を買ってしまった、という話を下の方に書きました。キューバの本については、やっぱりあきらめきれず、この前の週末も、ちょっと大きめの本屋で探し回ることしばし。やっぱり見つからないので、代わりに買ったのがこの本。いつのまにか、カタロニア/カタルーニャ趣味に変わりつつある...
(キューバについては、その後Amazonで調べてみたところ、堀田善衛『キューバ紀行』集英社文庫あたりからかなぁ、という感じ) 物語カタルーニャの歴史 posted with 簡単リンクくん at 2006. 7.29 田沢 耕著 中央公論新社 (2000.12) ISBN : 4121015649 価格 : ?819 通常2-3日以内に発送します。 ■内容 カタルーニャはバルセロナを中心とするスペイン北東部の地域。カタロニアは英語の発音を元にした呼び方のようです。この地域は今でこそスペインの一部ですが、独自の言語を持ち、ローマ帝国崩壊後から大航海時代以前の時代には地中海東部の覇権を握ったという歴史もあるなど、本来ポルトガルのように独立国家となっていても不思議がなかったとのこと。本書は、カタルーニャが地中海覇権を握り、そして失う9世紀?15世紀を中心に、この地域の歴史を概観しています。 ■感想 著者は銀行勤務時代のバルセロナ駐在経験からカタルーニャ語の専門家へ転進された方で、歴史学者ではありません。このため本書も、題に「物語」と入っているようにガチガチの歴史書ではなく、気楽に読める内容になっています。史実やその解釈についても、特に独自の主張があるというより、最も一般的な定説を紹介しているという雰囲気です。現地だったら教科書に載っているような内容、という感じでしょうか。 おもしろかったのは、カタルーニャ史に登場する人々に対する寸評。いわゆる「偉人」と言われるような、日本人にも馴染み深い有名人がほとんどいないせいでしょうが、無責任というか、肩の張らないコメントが随所に登場して、楽しく読むことができました。カタルーニャの王様たちには、硬軟取りまぜ「王である前に騎士である」という『ファイブ・スター・ストーリーズ』の登場人物みたいな人も多かったようで、ウソみたいな逸話に思わず吹き出したりしてしまったことも。 一方、残念だったのが、内容のほとんどが歴代の王たちの事跡と逸話を中心としており、普通の人々に関する記述がほとんどない点。例えば、13世紀、カタルーニャは隣接する南仏のキリスト教カタリ派を支援し、法王庁のアルビジョワ十字軍と戦います。私は、このカタリ派が重要なモチーフとなっている笠井潔の『サマー・アポカリプス』を含む<矢吹駆シリーズ>が好きなもので、この部分に差し掛かった時は、どういう話になるのかワクワクしました。ところが、本書では、王の視点(つまり政治的な意味合い)からの紹介しかなく、『サマー・アポカリプス』からのイメージをさらに膨らませることはできなかったため、ちょっとがっかり。 いずれにせよ、カタルーニャ地方への興味をさらにかきたててくれた点で本書の評価は○。一方、ちょっとサラっとしすぎている点は残念。 次なるカタルーニャものは、ハヤカワ文庫の目録の中で気になっていた『さらば、カタロニア戦線』かな。 PR |
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