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中学生の時、何を思ったか篠山紀信氏の写真集『ヴェニス』をエラく気に入ってしまい、8,000円という大金(当時)を貯めて購入した。(『ヴェニス』の写真の一部はインターネット篠山紀信で見ることができる)。
それ以来、ヴェネツィアの本が眼につくと買うことが多くなった。そんな流れで、たまたま入った古本屋で購入したもの。 陣内 秀信著 講談社 (1992.8) ISBN : 4061491113 価格 : ?777 通常2-3日以内に発送します。 ■内容 法政大建築学科教授の陣内秀信氏による、ヴェネツィア案内。 迷宮、市場、広場、劇場、祝祭……といった魅力的なキーワードごとに章をまとめ、それぞれのテーマについて、読みやすい文章で簡潔に歴史的側面と現在のヴェネツィアの状況を記している。 ■感想 本書は、著者・陣内氏がヴェネツィア建築大学での研究のため、1年間ヴェネツィアに滞在している間に書かれたものとのこと。都市・建築史の専門家としての視点による歴史解説と、現地在住者として現在の街角の魅力を伝えるウンチクが程よく混じり合い、街全体の魅力と雰囲気をよく伝えてくれる優れたガイドブックになっている。 特に興味深かったのは、複雑に発達したヴェネツィアの都市建築のおもしろさを語ってくれる「迷宮」の章と、人々の暮らしの中心について記した「広場」の章。自動車が無く(何せ走る場所がありません)、どこへ行くにも歩くしかないという都市は、今となってはヴェネツィアくらいなものだろう。今でもヴェネツィアでは、自動車の姿が存在しない広場で人々が語らい、その広場の間を結ぶ道は、秘密の通路のようなルートで結ばれているという。そういう話を聞くと、“効率重視”という視点と対称的な、ひどく人間的な印象を受ける。もちろん、現代的な暮らしを送るには、苦労もしなければいけないようだけど…… この本の良い点の一つは、精密な地図が多数掲載されているところ。さまざまな建築物や名所が文章中に登場するが、ほとんどの場所が地図上に示されていて、位置関係が大変、わかりやすい。これで索引が付いていたら、下手な旅行ガイドブックより、よほど実用的になっていたかもしれない。 PR |
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