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昨年末の発刊時、「科学の華々しい成果を1冊に凝縮」という惹句にひかれて買ったもの。その割には積読状態になっていて、ようやく読了。
ピーター・アトキンス著 / 斉藤 隆央訳 早川書房 (2004.12) ISBN : 4152086122 価格 : ?2,940 通常24時間以内に発送します。 ■内容 印象的なタイトルは、問題の抽象化・単純化という技法と検証可能性の重視という態度により、現代科学はガリレオから始まったと言える、という考えからとられたもの。ガリレオ以来の科学者たちが成し遂げた成果を、10の分野について紹介する科学解説書。 ■感想 著者のアトキンス先生が化学の大家で、物理化学に関する大学用の教科書にも名著がある方ということも知らずに読みはじめたのは、はっきり言って大ボケ。どうせ10個も分野を取り上げているのだから薄口の本なんだろうなどと思って読み始めたのだが……出だしに書いたちょっと軽薄なところがある惹句より、帯の背表紙側に書かれた「科学が到達した高みからの比類なき絶景を味わう一册」という文句の方が遥かに適切な、格調高い名著だった。 なんといっても本書の特徴は多様化した現代科学から10分野をセレクトしたところ。しかも、その10分野の配置がなかなか微妙で、通して読むと、章立て自体にアトキンス先生の科学(というより宇宙)全体に対する見方が込められていることがわかる。 構成としては、10分野が各1章をなし、次の配置で並べられている。 進化、DNA、 エネルギー、エントロピー 原子、対称性、量子 宇宙論、時空、 算術 改行は、内容からすると、おそらくこういうグループ分けなんなんだろうな、という想像によるもので、異論もあるだろう。また、自分でも思ったのだが、上記のキーワードが科学の分野名なの?という思う方もいるだろう。 自分自身は当初、最後の「算術」の章について、これは本当に「科学」の問題なのかという点で違和感を感じた。しかし、ガリレオが明確化した問題抽象化・検証可能性重視という原則を置きつつ、量子論や宇宙論といった実証不能な領域を扱うには、算術(数学)の限界を知ることが大きな問題となる、ということで、結局この最後の章が一番エキサイティングだったかもしれない。 文章の語り口は平易で、もちろん数式が出てくることなどはない。しかし、概念自体の理解には気合いをいれる必要がある。自分の場合、正直言って後半は、きちんと理解できたのか自信が無い。しかし、理解できた部分については、今まで曖昧に流してきてしまったことがスッキリした、という強い快感があった。 折角、様々な概念をきちんと説明してくれているのだから、ぜひ索引を付けて欲しかった。その一点が不満。 PR |
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